■フライ級歴代最強トップ⑩【人種差別を乗り越えたアジアの英雄】

軽量級の象徴とも言えるフライ級について。

伝統階級のフライ級。やはり悠久の歴史があるだけに知らない古のボクサーも多い。ワイルドとビラは目に見えて凄さが分かりやすかったのでランクインしたがフィデル・ラバルバ、フランキー・ジェナロ、ベニー・リンチ、ミゼット・ウォルガストなどの古豪の活躍や情報は中々手に入らないので選考外とした。いや、偉大な王者なのは勿論認めるんだけどウォルガストの英語版記事を翻訳しても、内容スカスカで評価しようがないんですよ笑。これは現地に住んでないと分からないヤツだ。

フライ級歴代最強ランキング。

①ジミー・ワイルド(イギリス)
パンチョ・ビラ(フィリピン)
パスカル・ペレス(アルゼンチン)
ローマン・ゴンサレスニカラグア
⑤ミゲル・カント(メキシコ)
⑥大場政夫(日本)
⑦ベツリオ・ゴンザレス(ベネズエラ
ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)
勇利アルバチャコフ(ロシア)
⑩ノニト・ドネア(フィリピン)

①ジミー・ワイルド(イギリス)

一体100KOを超えたボクサーは何人いるのだろうか、有名なのはやはりライトヘビー級のアーチー・ムーアだろう。そのレジェンド伝説人外記録の持ち主の1人がワイルド笑。この時代は無効試合とかいう現代人に理解不能なルールがあるので、評価に苦しむがワイルドは比較的少ない方(と思う)。100KO超えと言ったものの英語版wikiやボックスレックでは98KOになってるのは悪しからず笑。出身はウェールズスーパーミドル級で圧巻の試合を続けたカルザゲと同じである。

パンチョ・ビラ(フィリピン)

当時、人種差別が尋常じゃなかった時代の世界王者になった初めてのアジア人。考察だらけになるが、アメリカの植民地だったから世界タイトルのチャンスが来たのだと思う。そしてもう一つの考察は敗北、引き分け、無判定は全員アメリカ人ボクサーだったこと(1試合だけカナダ人)。抜歯が原因で23歳で亡くなった。大場政夫、サンチェス、1歳違いだがスタンリー・ケッチェルと世界王者のまま逝去したボクサーは23歳が多い。後のエロルデ、パッキャオ、ドネアに続く系譜を築いたパイオニア的偉大さもあり2位が妥当だとだろう。

パスカル・ペレス(アルゼンチン)

ペレスの3位は百田尚樹氏の黄金のバンタムを読んでれば、自然とそうなります笑。アマチュア最高の五輪で金メダルを獲得して、鳴り物入りでプロ入り後も白井義男を撃破して世界獲得。というが黄金のバンタムによると晩年は酷かったとのこと。奥さんはペレスの目の前で若いスパーリングパートナーと浮気して、最終的にはドヤ街でのたれ死んだらしい。当時のアルゼンチン情勢が悪かったのも不遇な原因の一つだろう。矢尾板の戦術次第で勝っていたと思うと惜しい。ボクは日本フライ級最強は矢尾板だと思っている笑。

ローマン・ゴンサレスニカラグア

完成度が高いがフライ級は実績不足感が否めない。現代のビデオ・オン・デマンドが発達して潤沢な資金で物を言わせれ、放映権の対立もない時代だと、容易にビッグマッチが決まっていたと思うと残念。あとは相性もあるけど、八重樫のパンチも多く貰っていたからね。でも、それは飽く迄も3位以降の顔ぶれに敵うかの話である。そう考えると現代ボクシング最強はチョコティィィィィィィィィィトに上がるんじゃないだろうか笑。古今東西のフライ級層が分厚い日本人世界王者でも倒せる選手が見当たらない。

⑤ミゲル・カント(メキシコ)

メキシカンにしては威力がなく、安全運転の技巧派だが防衛回数V14は凄い。ポンサクレックやナルバエスに抜かれることになるが、WBA&WBCニ団体の時代のレベルだから、どちらが重厚な価値があったかといえばカントの方だろう。そうは言っても接戦が多く際どい判定が多いのは評価を下げてしまう。異名はマエストロとやたらカッコいい笑。相手を指揮者のように裁くから付いた名前だろうか?個人的にはポンサクレックとの技巧派対決が見てみたかった。

⑥大場政夫(日本)

パンチョ・ビラ同様23歳で逝去した永遠のチャンプ大場政夫。防衛回数はV5と控えめだが、ノンタイトル戦の相手がすごい。4人と拳を合わせて4人とも世界バンタム級上位ランカーである。これは実質V9より価値が高いといっても決して大げさな表現ではない。2階級制覇して二団体統一してるような実績だろう。他にも有名な試合はチャチャイ・チオノイの捻挫だろう。チオノイも既に2度王座獲得し、その後も王座に返り咲くような強敵である。足が使い物にならなくなった状態で勝利したメンタルも強かった。

⑦ベツリオ・ゴンザレス(ベネズエラ

海外ではやたらと評価が高い選手。軽量級大国の日本での知名度はイマイチなのだが。評価が高いポイントを考察してみたら三つあって一つは93戦目も試合をこなしたこと。二つ目はミゲル・カントと3度に渡る対決。三つ目は3度も王座に返り咲いたことだろうか。確かにこうしてみると実績が凄い。しかし、8回も世界戦に負けている安定感の無さがホリフィールドとダブって見える笑。でも、ここまでフライ級に貢献したボクサーも少ないだろうからランクインは妥当だろう(と思う)。

ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)

個人的にウィラポンやカオサイやキングピッチより最強と思っているタイ人。いや、普通に戦えばカオサイやウィらポンが勝ちそうだが、ボクが評価しているのはスキル能力の高さである。打ち合いにも強く、アウトボクシングも上手く、タフネスやスタミナも揃っててオールラウンダー的なボクサーがポンサクレックなのである。V17達成の十分すぎる足跡なのに、王座に返り咲いてV6も果たして、亀田や内藤と言った強敵も倒した。キャリア初期の難敵ジェリー・パハヤハイも何気に好き笑。

勇利アルバチャコフ(ロシア)

日本のジムが生んだ最初のPFPランカー。ジムとの不仲が原因で引退したがファイトマネーで折り合いが付かなかったらしい。これは外人ボクサー故の故郷からの支援や、地元の後援会がなかったのが理由だろう。ボクシングスタイルは教科書のような綺麗なボクシングで、日本の精密機械と言ってもいいだろう。当時人気だった俳優のミッキー・ロークにメインイベントを奪われたが、これは見方によってはミッキー・ロークマネーのお陰で試合が出来たと捉えてもいいのではないだろうか。日本の試合はマネーがかかりすぎるし汗。

⑩ノニト・ドネア(フィリピン)

フィリピンの閃光がランクイン。理由は勿論ダルチニアン戦の見事な左フックに世界戦全てをノックアウトに終わらせているのが凄まじい。相手の中にはムザラネも入っているし笑。少数意見だが、全盛期的はフィジカルの強引さが通用したフライ級ではないかとも思っている。バンタム級ドネアはオマール・ナルバエスをフルマークで破った者のKO所か、ダウンすら奪えなかったのは痛いと思っている。試合のハイライトを見てもボクシングIQゼロのように強引にガードを破ろうとしたりでフィジカル任せな面が目に付いた。

フライ級のビッグマッチ。

①ジミー・ワイルドvsパンチョ・ビラアメリカ合衆国ニューヨーク州
フィデル・ラバルバvsフランキー・ジェナロ:アメリカ合衆国カリフォルニア州
③ミゼット・ウォルガストvsフランキー・ジェナロ:アメリカ合衆国ニューヨーク州
④ベニー・リンチvsピーター・ケーンスコットランドストラスクライド地方
パスカル・ペレスvs矢尾板貞雄:日本国大阪府
パスカル・ペレスvs白井義男2:日本国東京都
内藤大助vs亀田興毅:日本国埼玉県
⑧ベツリオ・ゴンザレスvsミゲル・カント2:メキシコ合衆国ヌエボ・レオン州
ジェシー・ロドリゲスvsサニー・エドワーズ:アメリカ合衆国アリゾナ州
ブライアン・ビロリアvsファン・フランシスコ・エストラーダ中華人民共和国マカオ

伝統階級だから仕方ないけど、4位までは古の試合となった。ワイルドとビラの最強対決はイギリスvsフィリピンというアメリカ人には関係ない試合となったため、当時は注目されてなかったと予想するが結果的に歴史に残るファイトとなった。どちらかと言うと米国内ではラバルバvsジェナロ、ウォルガストvsジェナロの方が関心は寄せられてた(と思う)。英国内ではリンチvsケーンの試合がヒストリーに名を残したと言われているのでランクインしたが人口が少ないスコットランドかぁ…いや、歴史は分厚いんだけどね。

ゴンザレスvsカントは昔の試合は生み出す資金が少なかったため、しょぼく見えるのが難点だが、ここはメキシコで試合をした2戦目として頂いた。1戦目と3戦目はベネズエラで興行的に儲かっても世界的には知名度が低そうなイメージなので。いやいや、ベネズエラも今も昔もボクシング大国なんですけどね。ペレスの矢尾板戦は主観が満載である笑。なぜならさっきも言ったように黄金のバンタムを破った男を読破したので笑。しかし、白井戦は入ってもおかしくないと思う。V3王者の白井vs無敗金メダリストのペレス…熱い。

内藤大助vs亀田興毅戦も余裕で入ると思う笑。亀田のアンチ人気と、メディアが擁立した内藤人気で視聴率も40%超えたとか。ここまでフライ級で注目を集めることなんて世界で考えられるだろうか?中量級で活躍したパッキャオの現地での視聴率も凄かったけど、それは飽くまでも人気階級だからである。内藤vs亀田はフライ級ですよフライ級笑。さいたまスーパーアリーナで行われたのも良い味を出している。後の10年後にドラマインサイタマと呼ばれる試合が行われるのは感慨深いし、カッコいい笑。